タロットカード『恋人』の説明と解釈
ライダー・ウェイト版の恋人のカードには、裸の男女と２人を祝福する天使の３人が登場し、カラフルな色使いで描かれています。与えられた数字は、大アルカナの『Ⅵ』で、バランスや調和を意味します。
３人？がいる世界は、旧約聖書の創世記に登場する東に位置するエデンの園です。エデンの園は、楽園の代名詞でもあります。人間は、天地創造の６日目に神によって創造され、エデンの園のエピソードにつながっていきました。まずアダムという男性が創造され、次に実のなる植物が創造されました。その中には、「生命の樹」と「善悪の知識の樹」という２本の樹木がありました。神は、アダムに「生命の樹」と「善悪の知識の樹」の実だけは食べてはいけないと命令しました。その後、女性のエバ(イヴ)が創造されます。エバは、蛇にそそのかされて「善悪の知識の樹」の実を口にし、アダムにも分けてあげました。実を食べた２人は自分たちが裸であることに気が付き、イチジクの葉で腰を覆いました。神の怒りに触れた２人と蛇は厳しい報いを受け、さらにエデンの園からも追放されてしまったのです。
青い空には、大きくて黄色い太陽が光り輝いています。天の恵みである太陽の日差しをいっぱい浴びて、大天使ラファエルが大きな羽と両手を広げています。ラファエルは、ヘブライ語で「神は癒される」という意味を持ち、旅人に付き添い守ってくれます。わたし達人間ののこころと身体を癒し、バランスと調和を与えてくれる守護天使なのです。４大元素論では、東・風・黄色に関連付けされています。ラファエルの大きくて真っ赤な羽は、力強く生きる情熱を感じさせます。身に着けている衣装は、慈悲を意味する赤色と青色を混ぜた紫色です。紫色は、精神と肉体、男性性と女性性、情熱と鎮静など２つの反対の意味をバランスよく融合させた色でもあります。
３人？の姿は、1人の人間の中に存在する３つの領域も表しています。
男性の姿は、そのままに男性性を表しています。自分の外の世界を五感を通して感じ、過去・現在・未来を理性的に判断したり、集中するといった顕在意識を人格化したものです。
彼のまなざしの先の女性は、目で見ることのできない感覚の本能的衝動、直感、感情といった潜在意識の女性性を人格化した姿です。
そして女性が仰ぎ見る大天使ラファエルは、わたし達のこころの奥底に宿る創造の神とコンタクトできる超越意識を表しています。
男女２人は、あるがままの姿で何ひとつ身に着けていません。それは、何ひとつ隠し事がない純真無垢な精神性を表しています。なにも持たないもの同士を結び付ける愛は、私利私欲を超えてお互いを思いやるこころにつながります。この世でもっとも高い次元の利他の精神に導いてくれる無垢な愛の力は、偉大なのです。こころと感情のバランスを調和させる大天使ラファエルは、深い愛情で結ばれた２人を祝福しているのです。
深い愛情は、恋人同士の間だけでもたらされるものではありません。人と人の間の中で繰り広げられる多種多彩な場面で生じるものでもあります。
人生には、常に誘惑が付きまとい、正しい選択と間違った選択とのハザマにいます。アダムの後ろには４つの実をつけた永遠の命を司る生命の樹が立ち、イヴの後ろには、秩序の意味の４つの実をつけた善悪を知ることができる樹が立っています。「善悪の知識の樹」には、蛇が巻きつき、この実を食べれば、神の知恵を得られるとイヴの耳元でささやいています。
アダムは、顕在意識なので、魔術師であり、皇帝であり、洗車に描かれている男性でもあります。イヴは、潜在意識なので、女教皇であり、女帝でもあります。
アダムに見つめられながらも、イヴの視線は、大天使ラファエルに向けられています。これは、感覚の違いやコミュニケーションのすれ違いでもあります。
さらに顕在意識から潜在意識そして超越意識へと向かう意識の流れを表しています。
２人の間にそびえたつ険しいは岩山は、これから起こるであろう問題や困難などの試練を象徴しています。
数字のⅥは、霊的な第六感を指すこともありますが、の正三角形との逆三角形とを重ね合わせた六芒星（ヘキサグラム）です。天と地、顕在意識と潜在意識、男と女などすべての分野で完璧な調和が取れていることを意味します。
『恋人』正位置の意味
『恋人』具体的なリーディング例
『恋人』正位置のまとめ
『恋人』逆位置の意味
『恋人』具体的なリーディング例
『恋人』逆位置のまとめと対策
『恋人』の解説まとめ
