タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『隠者(THE HERMIT)』
ウェイト版タロットカードの大アルカナ10番目は、『隠者』(THE HERMIT)というカードです。一般的な『隠者』とは、俗世間との交わりや名誉を捨て、ひっそり隠れるような暮らしに安らぎを得る人という意味があります。与えられた数字は、ひとつのサイクルが終わりに近づく節目でもある『Ⅸ』です。
では、『隠者』を詳しく読み解いていきましょう。
タロットカード『隠者』の説明と解釈
隠者のカードには、地味な色使いの中に仙人のような姿の人物が描かれています。
背景は、グレー系の薄暗い色です。隠者は、手と顔しか出ないフード付きのゆったりとしたグレーの衣服を身に着けています。白は光や理性、黒は闇や感情を意味し、グレーは、白と黒の中間色なので、中立を象徴する色になります。足元は、愚者のカードに描かれていた氷山の頂上のようです。周囲は白色で、険しい氷山や雲のようにも見え、危なっかしい岩に滑らないようしっかりと足をつけています。
暗い空、険しい山、冷たい氷…しんと静まった自然の厳しさを感じる場所ですが、独り頂上に立つ隠者の姿には、落ち着きを感じます。下界にある人間社会から自ら離れて、今いる場所にたどり着いたのでしょう。隠者は、困難を乗り越え、人から離れた静かな場所に身を置いています。孤独から得られる知恵とこころの静けさを手に入れ、人間的成長を果たした人です。
隠者の左手には、杖の役割にも見える黄金のワンドが握られています。左手は未来を意味し、ワンドは火のエネルギーです。外見とは裏腹に活発で前向きなエネルギーを秘めています。エネルギーは意識でもあり、外側にばかり向けるものではありません。こころのバランスを保つには、内面にも意識を向けることを必要とし、こころの成長には欠かせないのです。
右手にはランタンをぶら下げ、左側を向き、足元を見ているようにうつむいています。ランタンの中には、六芒星が輝き、まばゆい光を放っています。六芒星は、2つの三角形を重ねたもので、△は物質世界、▽は霊的世界を表し、バランスよく統合されたものです。完璧にバランスが取れた光のエネルギーは、創造の源でもあります。ランタンの光で足元を照らす様子は、過去の経験から学び、こころの傷を癒し、俗世間の価値観よりも自分のこころの声に従って前に進もうとすることを表しています。
隠者のもつ『Ⅸ』という数字は、頂点に達したことを意味するものです。どんな問題でも、解決方法はバランスの取れたこころの中にあります。精神的成長を遂げ、ものごとの本質を悟っている賢者は、他人を正しい道へと導く存在なのです。
『隠者』正位置の意味
あなたは、精神的にバランスが取れている状態に近づきつつあります。さらなる成長を望むのなら、人から離れて孤独になることが必要です。そうすれば自分の判断を信じられる精神的に自立した人間になれる日も近いでしょう。信頼できる人からのアドバイスも期待できそうですが、あなた自身が信頼され、他人を導く側になることもあります。
・精神的な成長が期待できます。
・客観的に自分を見つめ直します。
・経験が身につきます。
・過去から学べます。
・自分の信じる道を進みます。
・自分のこころの声に従います。
・1人でよく考えます。
・外側の感覚よりも内なる感覚に集中します。
・こころを静めます。
・答えを自分の中に探します。
・現状にとどまりません。
・静けさを求めます。
・世間から身を引きます。
・気を散らすものを手放します。
・正しい道へ導きます。
・信頼できる教師です。
『隠者』正位置のその他のキーワード
・賢明なアドバイス(忠告)・内向的・導き・自己の探求・経験測・助言・慎重・思慮深い・思いやり・単独行動・神出鬼没・変幻自在・難解・秘密(隠し事)・理性的・自習・修業
『隠者』正位置の具体的なリーディング例
人間関係全般
今ある人間関係から距離を置きたくなります。独りの時間を大切にするときです。常識や周囲の意見よりも自分の直感を信じてください。人を導く存在になります。信頼のおける人から良いアドバイスがあるかもしれません。
パートナーがいる場合…少しイライラするかもしれません。こころを静める時間が必要です。現状に不満がなくても、不倫や浮気に走ってしまう可能性があります。
パートナーがいない場合…いつも以上に孤独を感じるかもしれません。道ならぬ恋は、ますます孤独になるだけだと肝に銘じてください。
こころに思う人がいる場合…進展はなさそうです。思うようにいかなくても内面を磨くときだと前向きに考えてください。
仕事面…周囲の雑音に振り回されないで、マイペースを守ってください。慎重な態度が結果に結びつきます。
健康面…信頼できる専門家からのアドバイスや指示には、素直に従うことも必要ですが、自分の身体の声が一番大切です。まずは精神状態を安定させましょう。
経済面…既存の手堅い貯蓄がよさそうです。目新しいものや流行りのものに手を出すときは、慎重に判断してください。
『隠者』正位置のまとめ(対策や解決策)
隠者のカードは、動よりも静のカードなので、目に見える動きがあまり期待できない状況です。このカードが出たときは、静かにこころを整えて待つくらいのゆったりとした心構えでいましょう。過去の経験から得られた知恵、持っている知識を探求し、こころの声に耳を傾けてください。周りや偏った感情に流されていないあなたのこころの声は、真実を訴えているはずです。
『隠者』逆位置の意味
・経験を活かせません。
・隠し事がバレます。
・せっかくのアドバイスを無視してしまいます。
・自分の判断を信じられず、後悔します。
・孤独で不安になります。
・独りよがりになります。
・愚かな行動に走ります。
・閉鎖的になります。
・チャンスを逃します。
・悲観的になります。
・劣等感にさいなまれます。
『隠者』逆位置のその他のキーワード
・孤立・頑固・偏屈・現実逃避。妄想・無責任・未熟
『隠者』逆位置の具体的なリーディング例
人間関係全般
孤独を恐れ、周りに流されます。自信がなく、マイナス思考です。他人に依存したり、無責任な言動で信用されません。
パートナーがいる場合…精神的に不安定になり、いわゆるかまってちゃんです。相手に依存するか、逆に拒絶します。どちらにしても関係がぎくしゃくするでしょう。
パートナーがいない場合…孤独感が増し、悲観的になって落ち込みます。チャンスに恵まれても逃してしまう可能性大です。
こころに思う人がいる場合…独りよがりの考え方に陥ります。よく考えた結果でも、今は行動しない方が無難です。
仕事面…経験が活かされず、チャンスをものにできません。人に頼りすぎたり、無責任に軽はずみなことをすれば、孤立します。
健康面…悪い習慣がなおりません。せっかくのアドバイスも無視してしまいます。
経済面…愚かな行為で、散財しそうです。間違った判断をします。
『隠者』逆位置のまとめ(対策や解決策)
わたしたちは、精神的に不安定になると、自動的にマイナス思考に陥ります。現実をゆがめる偏ったマイナス思考は、自己中心的です。客観的に周りを見られなくなり、自分自身も信用できません。だからと言って、自分の殻に閉じこもったり、寂しさを紛らわすために人やものに依存しようとしてもなんの解決にもならないことを理解してください。
あなたが現実を受け入れられない原因はなんですか?
解決の糸口を探るには、まず自分自身のこころとちゃんと向き合う必要があります。まずは、自分の本音や忠告してくれる人の言葉を素直に受け入れましょう。
タロットカード『隠者』のまとめ
わたしたちが日頃慣れ親しんでいる一般的価値観は、すべての人にあてはまるものではありません。生まれや育ちが違うように価値観も多種多様なはずです。無理に周りの常識に当てはめれば、どこかにひずみがでてきてしまうこともあります。
自分のこころの声に耳を傾けるためには、自分と向き合う1人の時間が重要です。それは周囲から距離を置くことを意味し、人によっては勇気がないとできないかもしれません。ときには、とてつもなく孤独を感じてしまうかもしれません。それでも自分が本当に望む未来を手に入れたければ、必要なことなのです。
『隠者』のカードは、今は1人になって自分を見つめ直す時間を作って、こころの声をじっくり聞くことが大切だとわたしたちに教えてくれています。