メタ認知能力を高めるための方法~楽に生きる50代女性になる~

メンタルヘルス

かつて、女は感情の生きものだと揶揄されたことがありました。確かにそういう面はありますが、人それぞれのように思えます。その一方で、更年期の50代女性は、様々な感情に振り回されやすい年代です。50歳を越えても、できた人間にはほど遠く、もっとうまくやりたいと自分を責めてしまうような50代の女性も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、もてあます感情をどうにかできないものかと、最近注目されているメタ認知という能力について調べてみました。

メタ認知とメタ認知能力とは

メタ認知とは、自分の思考や知覚が認知していることを客観的にとらえている状態のことです。メタ認知能力とは、自分の思考や知覚、行動を俯瞰して観た上で、自分自身をコントロールし、冷静な判断や言動ができる能力と呼ばれています。

例えば、会社の同僚たちがなにやら盛り上がっておしゃべりをしている最中にこちらへちらっと視線を向け小声になったとき、あなたなら、どう感じるでしょう。

我関せずと全く気にしないでいられるでしょうか?

それとも、「自分のことを言っているのかもしれない?」と勘ぐってしまうでしょうか?

それどころか、自分の悪口を言っている前提で「なにか悪いことをしたのだろう。そういえば・・・」と1人でもんもんとしてしまうでしょうか?

もし、物怖じしない強者だったら、どう感じようとも、ことの真相を確かめにおしゃべりに割り込んでいけそうですが。

メタ認知とは、こうした人それぞれ独自のもので、主観は、過去の記憶からできあがります。

いま起こっていることへの感じ方や言動のおおもとは、過去の記憶からの学習から得たものです。
もともと持って生まれた気質と養育環境などが合わさって、無意識のうちに自分のメタ認知を自分らしく強化していきます。

メタ認知は、意識と深く関わっています。自分の記憶や知識に対する確信度や確かさを土台に合理的に物事を考え、情動を抑制するなどにつなげる役目をしています。

生きづらさの原因にもなるメタ認知のゆがみ

メタ認知がゆがんでいると、現実を客観的にそのままとらえることができません。ポジティブ思考であればまだしも?、ネガティブ思考だとどうしても自分独自のとらえ方をして、悪い方、悪い方へと考えてしまいがちです。

オセロのように白黒思考が強いともっと問題は大きく偏ります。人によっては、なにかひとつでも嫌なことがあるとそれをきっかけにしてすべてが嫌になってしまうでしょう。

極端にメンタルが弱ってくると、会社や生活だけでなく、この世のすべてが灰色に感じられます。生きることへの絶望から「消えてなくなりたい」、死を意識して「死んだ方がまし」などとこの世から去ることを望むかもしれません。

限界まで追い込まれないためには、こまめに身体を休ませる時間や楽しい時間を十分に取ることが大切です。嫌な時間があまりに長く長期間にのぼって生活にまで支障がでるようであれば、一時的にでも離れる方が正解です。

でも、意外とその見極めが難しいというのが、実情なのかもしれません。
日本社会には、いまだに我慢は美徳です。老いも若きもワガママは許されない風潮があります。

そこで、頑張ってなんとかなる問題といくら頑張ったところでどうにもならない問題を見極める能力が重要になります。
その能力こそがメタ認知というものです。

メタ認知能力の特徴

メタ認知能力は、低いより高い方が多くのメリットがあります。
具体的に低い人と高い人の主な特徴をあげてみました。

メタ認知能力が低い人の特徴

・人間関係がうまくいかない。

・自己肯定感や自己効力感が低い。

・感情に振り回されるので、精神的に不安定。

・過度な心配症。

・周りに流されやすい。

・同じことをいつまでも考えるぐるぐる思考になりやすい。

・思い込みが激しい。

・視野が狭い。

・自分の立ち位置がわからない。

・能力があっても活かされない。

・目の前の事実より頭の中の妄想を信じる。

メタ認知能力が低い人は、自己中心的で、ちょっとしたことでネガティブな感情に支配される傾向です。ものごとや人間関係のいざこざに巻き込まれると解決しても引きずります。いつもこころの中に葛藤があり、生きづらさを感じています。

メタ認知能力が高い人の特徴

・自分の立ち位置を理解できる。

・最後までやり遂げる力がある。

・目的や目標がはっきりと把握できるので、ただ流されることが少ない。

・問題が起きても冷静な判断ができ、解決へ導くことがたやすい。

・人の気持ちを推し測る余裕があるので、人間関係が良好である。

・自信がある。

・自己肯定感が高い。

・自制心がある。

・柔軟性がある。

メタ認知能力が高い人は、自分が置かれている状況を客観的にとらえ、自分の一時的な感情に左右されないで、何をすればいいのかを冷静に考えることができる人です。周囲への配慮もできるので、ものごとはもちろん人間関係のいざこざに巻き込まれることが少なくてすみます。優れた統率力や洞察力があれば、リーダーとしての素質も十分です。ただし、高すぎると人の目を気にしすぎて問題が出てくる可能性もあります。

メタ認知能力を伸ばす方法

自分の弱さや欠点と向き合う(セルフモニタリング)

(1)自分が無意識にしている言動や考え方をよく観察して、自分の癖を見つけ、その中の問題になる部分をあぶり出します。ここで大切なことは、自分の弱いところや欠点を見つけ、逃げずにしっかりと向き合うことです。

(2)その次に弱い部分や欠点を克服するために課題や欠点の改善策を考え、気持ちを前向きにしていきます。普段から繰り返し行うことで、自分をコントロールできるようにしていきます。

はじめは難しく感じたり、意識しないとできませんが、慣れてくると自然とできるようになっていきます。

たとえば、緊張する場面で混乱しているという状態では、まったく緊張しない人はいないし、緊張すれば混乱することもあると考えられるだけでも、客観的になっていると言えます。

最強?のマインドフルネス

一般的にマインドフルネスといえば、瞑想というイメージですが、ここではいまに集中することを指します。
いま、目の前でやっていることに意識を集中します。
外を歩いていれば、右足、左足、固いものを踏んだな、空は青いな、人が多いなという具合の観察にとどめます。

誰でもできる深呼吸

禅の基本には、調身・調息・調心というという教えがあります。からだをととのえる、息をととえる、こころをととのえるというものです。一般人には、あまり馴染みがありませんが、身近にできる簡単な方法もあります。それは、背筋を整えて行う深呼吸です。メタ認知能力が低い人は、不安感が強い傾向があるので、気持ちを落ち着かせる深呼吸だけでも効果は期待できます。

メタ認知能力にもっとも重要なことは、客観的な観察力です。それができれば、自然にわいてくる感情もコントロールがしやすくなります。

正しい見方・正しい思考・より良い解決方法と合理性などに自分の感情をどうコントロールしていくかによって、こころの状態が変わっていきます。

メタ認知能力のまとめ

長く生きている人間だから人としての完成度が高くなるかといえば、そうではありません。それどころか、身体は老化し、体力は衰える一方です。

半世紀以上頑張ってきた50代女性には、この先もまだいろいろな経験が待っています。

だからこそ、メタ認知能力を高めて少しでも楽に生きる方法を身に付けていきたいものです。

楽に生きることを目指して、できることから、少しずつ始めていきましょう。

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