タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『月(THE MOON)』
ライダーウェイト版大アルカナの19番目は、ⅩⅧという数字を持つ『月(THE MOON)』です。太陽のように光り輝く満月には、目を閉じた人物の横顔が描かれています。一体何を意味しているのでしょうか。詳しく読み解いていきましょう。
タロットカード『月』説明と解釈
背景は青空に見えますが、大きな満月が浮かび、夜空を明るく照らしているようです。
暗い闇が支配する夜は見えない世界の象徴です。人の力ではどうにもならない未知のものへの本能的な不安や恐怖などを表します。
両側に2つの塔が建つ門は、善と悪、潜在意識と顕在意識、陽と陰、男性性と女性性など2つの相反するものを象徴しています。
その門を抜けた向こうには、山々がそびえたっています。
月の光に照らされ青く見える景色は、これから始まるであろう試練を予感させます。
右側の月に向かって吠える狼と右側のおとなしそうな犬は、私たちがこころに持っている2つの側面です。
狼は、弱肉強食の厳しい大自然の中で生きている動物です。本能的な凶暴性を月に向かってむき出しにしています。
かたや犬は、空気を読んで控えめです。人間に飼い慣らされるうちに私たちと共存できる社会性を身につけました。一般的には従順な動物のイメージをもち、理性的に振る舞っているようにも見えます。
水中から陸に上がろうとするザリガニは、ギリシャ神話で下等な生き物とされる甲殻類の仲間です。そんな原始的生き物が月に照らされた外の世界へと向かう一本道に進もうとしています。
ザリガニと狼と犬は、わたしたちの内面に元々備わっている原始的な野性本能と後天的な理性の象徴です。
泉の右側のほとりには、7個の岩が描かれています。母性を表す3個の岩と父性の4個の岩は寄り添っています。
夜を支配している満月には、女性の横顔と三日月が描かれ、太陽の光を受けて黄金色に輝いてます。太陽神の力を得て、月の女神の存在が明らかにされていると言えそうです。
女性がうつむいて目を閉じている様子は、なにか思い悩んでいるようにも見え、三日月は隠れた部分を暗示させます。どちらも不安をかき立てる要素を持つものです。
憂鬱な雰囲気を持つ月から延びる長い波長と短い波長それぞれ16本の輝きは、ⅩⅥという数字を持つ『塔』のカードを彷彿とさせます。
月からはらはらと舞い散る花びらのような光は、まるでヨッド(ヘブライ語の手を描いた10番目の文字の火を意味する)のようです。ヨッドは、『悪魔』のカードと同じ15を数えることができ、恐怖を暗示させます。
青々と繁る大地、泉を満たす水、大気、そして明かり、すべてが揃っているように見えても、この世はわからないことだらけです。しかし、太陽の力を借りて、少しずつその事実を意識しつつあります。
『月』は、黄道十二星座のうお座になります。うお座は、四大元素の水に属し、女性性を持っています。性質は、想像力と直感力に優れるので、デリケートです。あまりに悪い影響を受けると騙されやすかったり、現実逃避したあげく妄想に走ることもあります。
ⅩⅧは、隠者のⅨとⅨが合わさって、まったく動きがなく現状維持を意味します。
山々が連なるはるかかなたへ続く小道を進んだ先には、『隠者』が住む高次の領域である世界が待っています。
そこにたどり着くまでには、厳しい現実以外にも目には見えない恐ろしい敵との出遭いがあります。迷いや不安に襲われて自分に嫌気がさすこともあるかもしれません。
わたしたちが何気なく過ごしている日常生活は、みんながよく知っている共通の世界だと思っていますが、体験している現実は同じではありません。それぞれが見たいように見て、感じたいように感じています。そして突発的に起こる事件や事故、新しい体験などによって、いきなり未知の世界に変わってしまうこともあります。今の当たり前だと思っている日常と非日常の知らない世界は、コインの裏と表に過ぎないのかもしれません。
あなたが五感で感じているものすべては、あなたのこころの状態を反映したものになります。
周りが見えない暗闇は恐ろしい世界ですが、月が照らしてくれるお陰で、神秘な世界へと変わります。あなたの心の中を明るく照らす光は、あなたを陽の当たる場所へと導いてくれる神の導きにも似ています。どんなに辛い体験であっても生きている限り乗り越えていくしかないのです。
『月』正位置が出たときの意味
・他人に騙されます。
・自分を偽ります。
・嘘の犠牲になります。
・予期しない変化があります。
・混乱を引き起こすようなニュースがあります。
・隠れたことを知り、不愉快になります。
・重要なことが隠されています。
・結果が見えません。
・大海に出る前です。
・踏んだり蹴ったりの状況です。
・隠れたことに注意が必要です。
もしこれといった問題が起こっていなければ、超常現象や霊的なことなども考えられます。
その他のキーワード
・不誠実さ・変化・恐れ・幻想・誤解・旅行・暗中模索・優柔不断・母親・危険・裏切り・郷里・自然・歴史・現実逃避・トラウマ(フラッシュバック)・一時的な不安・不安定・幻滅・洗脳・超常現象・スピリチュアル・透視能力
『月』正位置の具体的なリーディング例
人間関係全般
表面上はなにもないように見えていても、裏切り行為にあったり、自分自身の本音にふたをして、心情的には辛い状況に追い込まれそうです。
パートナー(恋人や夫)がいる場合…相手の考えていることが分からず不安になります。何か隠し事をしているのかもしれないと疑心暗鬼になったり、誤解が生じます。
パートナーがいない(募集中の)場合…あなたを騙そうと近づいて来る人がいるかもしれません。見た目や優しさに騙されないためにも焦らないことです。
こころに思う(片思いの)人がいる場合…相手への思いを試されるようなことが起こります。たとえ何も起こらなくても、気持ちが揺らぎそうです。
仕事面…不誠実や優柔不断な態度が仕事に支障をきたしそうです。確認不足によるトラブルが起きるかもしれません。
健康面…漠然とした不安が生まれます。なにかしらの病気が隠れているかもしれません。
経済面…不安定な精神状態や経済状態をつけこんでくる人がいます。騙されないためにも注意が必要です。
『月』正位置の対策や解決策(アドバイス)
希望を胸にいつもポジティブ思考で前進あるのみと意気込んでいる人でも漠然とした不安にかられることはあるものです。そして、先行きが見えない状況に落ち着かず、疑いが生まれたり、警戒心が募ることもあるでしょう。
度が過ぎるネガティブ思考は、下手に動けば怪我をするという事態を呼び、ゴールを遠ざけけます。
ネガティブなことに支配されたときの最大の防御のひとつは、動かないでじっとしていることです。
今は、暗闇を進むために必要なものを準備し、整える時期だと考えてみてください。
それが目には見えない問題のカギをみつけるヒントにつながります。
『月』逆位置が出たときの意味
・期待以上の結果を得られます。
・不安が消えます。
・混乱がなくなります。
・慈愛の精神が出てきます。
・計画が順調に進みます。
・もうすぐ解決します。
・新たなハーモニーが生まれます。
・夢や希望に期待が持てます。
・過去から脱却できます。
・ミスをしても失敗の内に入りません。
・誤解や不安が解消されます。
・状況がはっきりします。
・成長を確信します。
その他のキーワード
・誠実さ・プラスになるサイキック現象やスピリチュアル
『月』逆位置の具体的なリーディング例
不安の原因がはっきりし、こころが安定します。隠れていたことに気付くことができます。今後進むべき道がはっきりしてきます。
人間関係全般
周囲の人とスムーズなお付き合いができ、ストレスが減ります。本当の意味で良い人間関係を結ぶことも可能です。
パートナー(恋人や夫)がいる場合…嘘や隠し事がはっきりし、不安が希望に変わります。
パートナーがいない(募集中の)場合…気持ちを整理することができます。新しい出会いに希望が持てます。
こころに思う(片思いの)人がいる場合…曖昧な関係から一歩前に進むことができそうです。
仕事面…トラブルや問題があっても大きなことにならなかったりして、解決の見通しがつきやすい状況です。
健康面…心身ともに安定できます。たとえ病気が発見されても、ちゃんと治療すれば快方に向かいます。
経済面…精神的に安定するので、衝動買いが減ります。収支のバランスが整い、経済状況も心配なさそうです。
『月』逆位置の対策や解決策(アドバイス)
自我をコントロールできる強い精神力を育てるチャンスのときです。
清廉潔白な前向き思考は、嘘を見破り真実を見極める目を与えてくれるでしょう。
タロットカード『月』まとめ
わたしたちは、ふと見えない不安に襲われ、おびえることがあります。そしていつも見慣れた光景が、アクシデントによって違う世界に変わってしまったように思えることもあるはずです。
長い人生を歩んでいる道のりの中には、暗闇で道に迷ってあてもなくさまようこともあります。
そんな”お先真っ暗”で不安な状況から脱出するには、改めて目的をはっきりさせ、自分自身を見つめ直すことが大切です。
そして、今の苦しみから抜け出そうとする強い意志と冷静な判断力を持てれば、鬼に金棒と言えるでしょう。
どんなに真っ暗闇でも自分の中に強い信念をしっかりと確信したとき、本来進むべき正しい道が見えてきます。
『月』のカードは、目には見えないことにも気を配る繊細さと不安に打ち勝つこころの強さの重要性ををわたしたちに教えてくれています。
見えないことにも意識を向けつつ、自分を信じてみましょう。