タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『塔(THE TOWER)』
ライダーウェイト版大アルカナの17番目は、見るからに災難の場面が描かれた『塔(THE TOWER)』というカードです。悪魔のとりこになった後にいったい何が起こったのでしょう。ⅩⅥの数字を持つ『塔(THE TOWER)』について詳しく読み解いていきたいと思います。
タロットカード『塔』説明と解釈
背景は、大きな雲が描かれているものの『悪魔』と同じ真っ暗な闇です。
中央には、断崖絶壁の上に建つ有名なバベルの塔が描かれています。
バベルの塔の頂上を狙って稲妻が走り、雷に打たれたところからは火の手が上がっています。頂上にあったはずの黄金色の大きな王冠は吹き飛ばされています。
王冠は、地位と名誉と富を手に入れ支配力をもった『皇帝』の世界観を表します。驕り高ぶった”何様”的な態度の象徴でもあります。
稲妻には、古い時代から稲を実らせる力があるとされ、稲が実る時期に稲妻が多く発生するとよく育つと信じられています。
バベルの塔には諸説ありますが、一般的には古代の人々が天界を目指して建てようとしたと言われています。
しかしその挑戦を許さなかった神は、言語を別々にし、人間を世界各地へと散らしました。その結果、バベルの塔は未完成のままに放置されてしまいました。
名誉や名声などを象徴する塔は、プライドのようなものです。
高くなればなるほど固定観念に縛られ、自己中心的になっていきます。
強固なたたずまいは、鼻っ柱の強さを表しているようでもあります。
正面にある3つの窓からも火の手が上がり、男女が投げ出されて、まさに大惨事です。
3は、成長や母性的なエネルギーという『女帝』の世界観と父なる神・子のキリスト・聖霊の三位一体を表しています。長方形の窓は、不安定な四大元素の象徴です。
外の世界からの様々な誘惑にあった意識は、精神的な豊かさとかけ離れた目に見えるものに価値を見出してしまいました。
『塔』に描かれた稲妻は、その高すぎるプライドや高慢な態度、物質的な豊かさに価値を置く固定観念を破壊しています。精神的な成長ができないまま止まっている意識に突然の衝撃が走ったのです。
予期せぬ災害で頭から真っ逆さまに落ちているのは、アダムとイブあるいは『魔術師』と『女帝』のようにも見えます。自分のお城と言える塔から放り出されることは、今までの価値観を変えざるえないことを示唆します。それは、エゴからの解放も意味するものです。
カードの左右には、黄色い花びらのような火の粉が描かれています。ヘブライ語の手を描いた10番目の文字で、火を意味するヨッドの模写のようです。左のヨッドの数は『吊るされた男』と同じ12、右は『運命の輪』の10で、どちらも完全性を意味します。2つを合わせると大アルカナの枚数の22となり、過去に培った経験を意味していそうです。
『塔』に与えられたⅩⅥという数字は、いくつかの組み合わせでの意味が考えられます。『運命の輪』のⅩと『恋人』のⅥの場合では、精神面の成長過程の中での通過儀礼を意味する数字になります。他にもⅠ+ⅦやⅧ+Ⅷなどもあり、あらゆる分野での分岐点です。
『塔』は、タロットカードの中でネガティブカードの1枚に数えられ、目に見える災難が大したことでなくても、精神的には強い影響を受けます。
しかし、悪いことだと思える災難は、宗教的な言い方をすれば、天からの罰というよりも天から与えられた試練です。ただ、それを受け取るのは紛れもなくこのカードの主人公であるあなたです。自分が置かれている状況を天国にも地獄にもする変える力はあなたが持っています。
災難とエゴにただ振り回されるのではなく、雑念に汚れたこころを研ぎ澄ましてください。
良心や周りの忠告に従わず、自分だけを守ろうとする行為や自己満足に走って手に入れたものは、早々に滅びるのが世の常です。天からのご加護を信じて自分の内面を探求し続けるなら、こころの平和に結びつくときが必ず訪れます。
『塔』正位置が出たときの意味
自分の力ではどうにもできない運命的な衝撃を受け、天地がひっくり返ります。今までの当たり前が破綻してしまいます。
思いがけない苦難に大きなショックを受けることも考えられます。辛い経験が精神的な成長を促すものになると言われても受け入れるのは難しいことかもしれません。しかし、高いレベルの精神性を手に入れるためには、必要だから起こったのです。
どんなトラブルも自堕落なこころの受難だと認めてください。そして、その中に喜びを見つけられるよう前向きに努力をしてみましょう。
・突然の崩壊を体験します。
・真実に目覚めます。
・物事が危機的状況に達します。
・ショックなことが起こります。
・けんか別れします。
・既存の枠組みが壊れます。
・積み上げてきたものを失くします。
・崩壊が変革をもたらします。
・事故や思いがけない災難に遭います。
・今までの地位が崩れます。
・気の使い過ぎで神経衰弱になります。
・勇気をもって現状を変えます。
・隠されていたことが表に出ます。
・下心がバレます。
【その他のキーワード】
・崩れる・変化・裏切り・悲劇・トラウマ・自己破壊・被害妄想・転落・警告・破綻・災害・破壊・衰弱・怪我・地震・瀕死の状態
『塔』正位置の具体的なリーディング例
人間関係全般
今の人間関係が危機的状況に陥る可能性があります。ケンカ別れや裏切り行為も考えられ、精神的に大きな影響を受けることが起こりそうです。
パートナー(恋人や夫)がいる場合…今までの関係性が変わるような突発的なことが起こります。2人の関係を終わらせたくなければ努力することで、今より一歩進んだ関係になれるでしょう。
パートナーがいない(募集中の)場合…出会いに恵まれても思いがけないことが起こり、期待通りには進みません。
こころに思う(片思いの)人がいる場合…ショックなことが起こり、気持ちが冷めるかもしれません。
仕事面…予期しないトラブルに見舞われる可能性があります。気持ちを引き締めて前向きに仕事に取り組むことです。
健康面…不健康な日常生活が原因で病気にかかったり、気の使い過ぎで精神的に病みそうです。
経済面…予想外の出費で、お財布に痛手があります。いままでの収支のバランスを見直すときかもしれません。
『塔』正位置の対策や解決策
『塔』は、状況や心境の電撃的な変化を意味するカードです。
変化がよい方向に向かえば、今まで見えなかった真実が見えるようになりますが、あまり調子に乗らない方が賢明です。
またエレメントが火に属するため、自己主張が激し過ぎて攻撃的になる可能性がでてきます。自己保身に走って「自分は悪くない」、「自分は正しい」と変わることに抵抗する気持ちが強過ぎれば、辛い状況が長引くだけです。
人間のこころは、自分の欲求や感情に敏感に反応します。すぐ流されて意気投合するかわりに感謝は忘れがちになります。
どうしようもない災難であってもまずは謙虚に受け入れる努力が賢明な解決策につながっていくことを肝に銘じてください。
『塔』逆位置が出たときの意味
カードを逆さまにすると2人の人間は、手を上げて宙に浮いたようになります。足が地面から離れて手出しができない様子は、正位置同様自分の力ではどうにもできないことを表し、まさにお手上げ状態です。しかし同じ落下でも足から落ちているので、正位置とは事情が変わってきます。頭から落ちるよりも恐怖が少なくすみ、こころの準備をする余裕があります。大きなショックを受けずに被害も軽くすみそうです。
・避けようと思えば避けられそうな危機にあいます。
・緊迫状態が続きます。
・予測通りの災難が起こります。
・期待通りの変化がおきます。
・アクシデントに見舞われても被害は少なさそうです。
・誰かの犠牲にはなりません。
【その他のキーワード】
・故障・暴力・災難・転落
『塔』逆位置の具体的なリーディング例
人間関係全般
避けようと思えば避けられるほどの小さなトラブルが起こるかもしれません。
パートナー(恋人や夫)がいる場合…ちょっとした行き違いが起こり、ぎくしゃくすることが考えられます。冷静に対応しましょう。
パートナーがいない(募集中の)場合…小さな変化があります。生かすも殺すもあなた次第です。
こころに思う(片思いの)人がいる場合…期待通りのアクシデントに恵まれるかもしれませんが、吉凶はわからないので、冷静に対応しましょう。
仕事面…想定範囲内の小さなトラブルが起こります。今後の良い教訓にしましょう。
健康面…自覚している日頃の不摂生のせいで、体調を悪くします。この際、生活の改善に取り組む努力をしてみては?
経済面…心当たりのある無駄遣いで、予想通り経済状況が厳しくなります。
『塔』逆位置の対策や解決策
逆位置の『塔』は、よく考えてみると多くの場合「そういえば…」と本人に思い当たるふしがある状況です。
ただでさえ人間という生き物は、気が付かないうちに傲慢になったり、頑固になったりします。そして口を開けば、「たら」「れば」を連発し、愚痴や文句が多くなります。そうなると状況はよくなるどころか、悪い方向に向かいがちです。現状をこれ以上悪くさせないためにも原因を早く見つけることが解決の糸口につながります。
『塔』意味のまとめとアドバイス
『塔』は、突発的に起こる自分の力ではどうにもできないネガティブな変化のときに登場します。
誰だって慣れ親しんだものから切り離されれば、こころが乱れてしまうものです。特に変わることを嫌う人からは歓迎されないカードになります。平穏な生活から突然奈落の底に落とされたと感じてしまいます。
本人に問題があるのは確かなのですが、エゴに憑りつかれている状態では、到底気が付けないでしょう。
人生の中では、神から与えられた試練だと思えるようなことが起こります。その試練のひとつが「変わらなければならない」ときです。
現状を変えたくても自分が変わらなければ、何も変わりません。今の自分をそのままに周りだけに変わって欲しいと望むことは、傲慢のなせる業(わざ)だと言えます。
どんなに嫌だと感じても、まずはこれからよいことが始まると考えましょう。あなたが前向きに変われば、悩みやストレスが減っていき、希望の星が必ず現れます。
特に人間関係においては、こころのもちようが大切です。こころの状態が変化すると同時に周りも一瞬で変わっていくものです。あなたもそんな光景に見覚えがあるのではないでしょうか?
人生を好転させる極意は、すべてに感謝することです。
恵まれていることには気がつかず、不平不満ばかり言って、自分も他人もぞんざいに扱うような人生には喜びは訪れません。
あなたが望むなら、『塔』のカードは、こころのお清めの儀式になります。
あらゆる災難が精神的な成長を果たすためには必要な『天からの贈り物』だと考えれば、落ち込んでいるだけなんて「もったいない!」のです。
このカードが出た時は、目の前で起こっていることの本質を見極めるこころを手に入れるチャンスのときです。
苦難という贈り物をしてくれた運命や天地創造の神に感謝しつつ、このチャンスを活かして、こころをせっせと磨きましょう。