タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『悪魔(THE DEVIL)』

タロット占い

ライダーウェイト版16番目は、暗黒の世界に怪しい姿が描かれた『悪魔』というカードです。一般的には『死神』ほど有名ではありませんが、不吉や怖い印象なので、リーディングでは受けが悪いカードの1枚になります。

与えられた数字は、『ⅩⅤ』です。2つの相反するものが『節制』されてバランスを保っていた状態が崩れ、こころに変化が起こったことを示しています。 

それでは、大アルカナ『悪魔(THE DEVIL)』を細かく読み解いていきましょう。

タロットカード『悪魔』説明と解釈

背景は、漆黒の闇のような世界が広がるだけで、何も見えません。

黒は、陽の光が届かない暗闇の世界を表現しています。明るい光の世界が善だとすれば、悪がはびこる暗黒の世界です。

暗闇から浮き出る怪しげな3つのキャラクターは、三角形の構図で描かれています。『法王』や『恋人』に似たイメージです。

大きく描かれた悪魔は、ギリシャ神話に登場する神のパーンやキリスト教の悪魔で黒ミサを司るバフォメット、地獄のトップである魔王サタン(堕天使ルシファー)がモチーフとされています。

悪魔は、コウモリのような大きな翼を広げています。顔は、横に長くのびた角に耳そしてあごひげが特徴で、まさにヤギです。腰から膝もヤギのような毛並みをしています。

膝を曲げて指と爪で小さな台座をしっかりと掴んでいる部分は、鷲や鷹のようです。腕と胴体だけは人間の形をしていますが、衣服は身に着けずに野性味あふれる姿で描かれています。

ヤギの顔は、黄道十二星座の山羊座を象徴しています。山羊座の特徴は、荒々しい・権力志向・現実的・束縛傾向などです。
おとなしい羊とは違い、荒々しい性格から西洋では”悪の使い”とされてきました。

悪魔の頭上には、五芒星が浮かんでいます。五芒星は、四大元素(火・水・風・土)に魂(霊)を足した5つのエレメントを表したもので、魔術の記号でもあります。上下逆さまの向きの五芒星は、アンバランスで地の底の地獄を指し、デビルスターと呼ばれ悪の世界の象徴です。

右手は、前方に向かって手のひらを広げています。そこに刻まれたマークは、木星の惑星記号「♃」に似ています。「♃」は、ギリシャ神話のゼウスに関連した記号ですが、五芒星と同様に逆さまになっているので、悪魔の象徴です。

左手には、燃え盛るたいまつが握られています。炎が上に向けられたたいまつは、闇や世の中を明るく照らすことから神聖な役割を持ち、神事などでも使われます。しかし、悪魔のたいまつは下に向けられ、役割を果たせません。それどころか地面を怪しく照らす炎は、左手に向かって燃え上がり、火傷しそうです。自らの情熱で自分自身の身を焦がすことの象徴です。

見たこともない悪魔の姿は、見た目で判断できないキャラクターで、わたしたちを混乱させ、不安をあおります。そして悪魔の住処は、地獄です。地獄の暗闇は見知らぬことへの恐怖を表しています。

悪魔が乗っている黒い台座は、縦長の長方形です。悪魔の体に対してとてもバランスが悪い上に当の悪魔からは自分の足元が見えていません。見るからにアンバランスな台座は、足元の不安定さの象徴です。

法王が高い精神性の持ち主で、神(法や秩序)に従うことを信条にする人々の安定した良心だとすれば、悪魔は神(法や秩序)よりも本能(欲望や欲求)に従う利己的で不健全な物質主義者です。

悪魔の前には、『恋人』に登場した全裸の男女が描かれていますが、様子がだいぶ違います。2人は角をはやし、首にはするりと抜けそうなほどゆるい鎖が巻かれて、悪魔が座る黒い台座につながれています。

右の男性の尻尾の先は、悪魔の左手のたいまつから移ったであろう火が燃えています。火は、情熱という名の熱く燃える本能的な欲望です。強すぎる火は、自らを亡ぼしかねません。彼は本能のままに動かされ、女性を誘おうと右手を差し出しています。

左の女性の尻尾の先には、古代からワインに利用され、豊かさの象徴である葡萄の房がなっています。物質的な豊かさを手に入れている彼女の欲望は、キリがありません。情欲を止めることができずに男性からの誘惑に負けて快楽のとりこになってしまっています。

新約聖書の中に「わたしは葡萄の木、あなたがたは枝である」というイエス・キリストの言葉があります。葡萄の枝である人間は、イエス・キリストという木につながっていなければ自分では実を結ぶことができないという意味です。つまり、わたしたちが精神的な豊かさを手に入れるためには、神とつながることが必須になります。

悪魔は、虎視眈々とわたしたちが神から離れる瞬間を狙っています。目に見える豊かさだけを執拗に追いかければ、大切なものを失うことになりかねないでしょう。

台座に鎖につながれたうつろな目をした男女2人は、無意識に悪の世界に足を踏み入れたようにも見えます。鎖の長さは、今現在行動できる範囲を物語り、彼らが見ている世界です。

2人は、いつでもそこから逃げ出せるという自分たちの状況に気がついていないようですが、誘惑に負けて自らそこに留まっていることも考えられます。どちらにしても悪魔に魅入られ、逃げ出そうにも逃げ出せない囚われの身です。

悪魔のとりこという居場所は、意外にも居心地がいい場所なのかもしれません。抜け出すのは、容易なことではなさそうです。

真っ暗な闇は、目が曇って客観的な判断ができなくなって、周りが見えていない状態です。物質主義で主観的思考や自分の感情しか信じられないという人間の愚かな部分でもあります。自分が見るもの、聞くもの、触れるもの、嗅ぐもの、味わうものそして感じることが世の中の基準になります。たとえば、普段わたしたちが無意識によくやりがちなのは、プレゼント(貢ぎ物)や接し方で愛情の量をはかってしまうことです。高いプレゼントをもらえれば、それだけ自分の価値が高まったような錯覚にとらわれます。

また欲しいものを手に入れたときは有頂天になり、心地よさに酔いしれることができてもその状態は長くは続きません。「もっともっと」とさらによりよいものを追い求める欲求が沸き上がってきます。物質社会では、見た目・値段・ブランドなどを重要視しがちですが、そういった目に見えるものだけを判断基準にすれば、人間の意識はゆがめられ本質を見極めることから遠のきます。ものごとの本質を見ようとしないこころは、いつも揺れ動き続けるしかありません。

不健全な精神状態は、悪魔に憑りつかれているような状態です。こころのバランスを崩して、客観的な見方ができなくなっているので、目の前のことしか見えなくなっています。
自分の置かれた状況を冷静に理解し、暗闇の世界から早く抜け出す方法を探すしか事態の打開は難しいでしょう。

「見てはいけない」と言われれば、逆に好奇心をかき立てられ見たくなり、よくないとわかっていてもついやってしまうのが人間です。
悪を嫌い、善だけの世界になってほしいと望んでも、現実の世の中にはいつの時代にも悪がはびこっています。必要悪という言葉があるように根絶不可能な人間のどうしようもない一面なのです。

度を越して悪から逃れられなくなってしまったとき、争いや犯罪が生じ、人生は台無しになってしまいます。

どんなに年を重ねても清く正しく生活し、魂レベルでの成長を目指そうとする意識が悪魔に人生を乗っ取られない秘訣になりそうです。

『悪魔』正位置の意味

『悪魔』のカードに描かれた得たいの知れない悪魔と鎖でつながれた全裸の男女は、気味の悪さと不健全さをイメージさせるものです。弱みにつけ込む悪魔によって、わたしたちの誰もが甘い誘惑に負けて快楽におぼれたり、欲にかられてお金やものに執着したり、今いる自分の居場所にしがみついたり・・・つまり恐ろしいものとの出会いと恐ろしいもののとりこになってしまったことを意味しています。たとえ、いつでも抜け出せると分かっていても「わかっちゃいるけど、やめられない」状態です。
また日頃当然だと思い込んでしまっていることに注意を払い、見直しが必要になることもあります。特に年齢が高くなるほど、間違った見方や偏った見方をしておかしな状況に陥っていないかを意識的に確認するべきです。

・恐ろしいものと出会います。
・現実から目を逸らし間違いを犯します。
・周りの人を騙します。
・金銭に目がくらんだ行動をします。
・希望を持てません。
・心配事が頭から離れません。
・敵や障害に負けてしまいます。
・役割や立場にしがみつきます。
・誘惑に負けます。

その他のキーワード
・空しさ・浅はかさ・見栄・執着・とりこ・実利主義・破壊・束縛・こだわる・無知・わがまま・浪費・混乱・絶望・物質主義・裏切り・拘束・堕落・悪循環・破天荒・憎悪・嫉妬心・憎しみ・恨み・根に持つ・憤怒・破滅・偽装結婚(政略結婚・金目当て)・権力志向・病気・異常・乱暴・暴力・不運・因縁・宿命・不幸・熱情・荒廃・損害・悪意・悲観的

『悪魔』正位置具体的なリーディング例

人間関係全般
自然体でいられず、無理をしなければならない関係にストレスが溜まります。原因が分かっていてもやめられません。

パートナー(恋人や夫)がいる場合…純粋な愛情以外に価値を見出した関係になりそうです。ネガティブな感情に支配され、アンバランスな依存関係に陥る可能性もあります。

パートナーがいない(募集中の)場合…不健全な関係を求められそうです。自分の本当の気持ちにふたをして、目の前の誘惑に負けてしまいます。

こころに思う(片思いの)人がいる場合…苦しい思いが募ります。寝ても冷めても頭から離れません。相手に対する熱情で身を焦がしそうです。

仕事面…ネガティブな感情のせいでトラブルを起こすかもしれません。仕事優先でこころにゆとりがなくなります。

健康面…不健康な生活に陥ります。体に悪いと思っていてもやめられず、病気を誘発しそうです。

経済面…お金に執着したり、強い物欲に支配されます。経済的に厳しい状態になりそうです。

『悪魔』正位置の対策や解決策

『悪魔』のカードのキーワードには、あらゆるネガティブな言葉が並びます。この世で、本当に恐ろしいものとは、目に見える世界ではなく、現実には見えない人のこころの中に存在するのかもしれません。
図らずも『悪魔』のカードが出てしまったときは、あなた自身のこころ中に悪魔が住みついている可能性があります。もしこころの中に悪魔を見つけたら、悪魔の存在を認めることが解決の糸口になります。まずは、自問自答して冷静に事実を観察してみてください。次に『悪魔』を生んだ原因や『悪魔』の存在を受け入れて自分自身と向き合ってみてください。”もやもや”は、解消されていきます。手放すことに成功できれば、あなたの中の悪魔はもう消えてなくなっているはずです。

『あなたが本当に望んでいることはなんですか?誰にも遠慮することなくこころの中に思い描いてみてください。あなたの本当の理想は、今見える現実と比べてみてどうですか?理想に近づけるためにどうすればいいでしょう?
もし、執着していることがあるなら、少しでもそこから離れてみましょう。勇気が必要になるかもしれませんが、きっと見えている景色が変わるはずです。勇気を持って今いる場所から一歩前に踏み出してください。古いものを手放した途端に不思議と新しい良いものが現れて、手に入ることもあります。

こころが落ち着きを取り戻すことができたら、理想を叶えるために行動を起こしましょう。

『悪魔』逆位置の意味

逆位置は、状況の改善を意味します。あなたにとってマイナスになることから解放されます。気持ちがリセットされるので、ネガティブ思考が減ったり、甘い誘惑にも乗らないですみそうです。
ただし、調子に乗ればすぐに悪魔の手の中になります。思い通りにことが運んだとしても、謙虚さを忘れないことが大切です。

・誘惑を断ち切ります。
・束縛から解放されます。
・不安がおさまります。
・ネガティブ思考が解消されます。
・欲求不満が解消されます。
・執着心から解放されます。
・困難から学ぶ余裕があります。
・嫌な役目から解放されます。
・勇気を持って断れます。

その他のキーワード
・覚醒・回復・リセット・生真面目・暴力・激烈・疎遠

『悪魔』逆位置具体的なリーディング例

人間関係全般
変なこだわりがなくなります。苦手な人たちから解放されます。

パートナー(恋人や夫)がいる場合…危機を乗り越え、ほど良い距離感のいい関係を築けそうです。

パートナーがいない(募集中の)場合…落ち込んでいた気持ちが回復して、自信を取り戻します。

こころに思う(片思いの)人がいる場合…ネガティブ思考から解放され、前向きになれます。

仕事面…変なこだわりがなくなり、精神的余裕が生まれます。

健康面…誘惑をはねのけ、健康的な生活を取り戻せます。

経済面…物欲が減り、無駄な出費が抑えられそうです。

『悪魔』逆位置の対策や解決策

物質的なものにこだわるより精神的なものに注意を向ける努力を忘れないでください。目に見える表面的なものが真実でないこともあります。隠れた面に意識を向けていくことが悪魔から逃れるカギです。

タロットカード『悪魔』まとめ

『恋人』のカードでは、大天使ミカエルの祝福を受けてバランスの取れていた2人が『悪魔』につけ込まれて、アンバランスな状態になってしました。二等辺三角形は、快楽と欲望におぼれた状態を意味します。
悪魔は、常にわたしたちのすきを狙ってつけ入ってきます。そして弱みを握ったらなかなか離してはくれません。その巧妙で抜き差しならない魔の手にはまらないように日頃から自制する習慣を身につけることが必要になります。そのためにも現状から変わる勇気を持つことです。予測不可能な未来は不安がいっぱいだからとたとえ望まない状態でも慣れ親しんだ今のままにとどまってしまうのは人間の悪い癖です。

人の目は、とかく節穴になりやすく、近すぎると周りが見えなくなります。さらには、自分の思い込みが歪んだ世界を生み出します。
少し目線を下げるだけで、緩い鎖から抜け出すことの簡単さに気がつけます。悪魔のとりこにならないためには、常に冷静さと常識的判断を心掛けて生活するしかありません。そして日頃から、前向きに考えるように努力してください。それが意外にも情欲や不安に打ち勝つ近道になるのです。

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