タロット占いの詳しい解釈と意味　大アルカナ『女帝（ＴＨＥ　ＥＭＰＲＥＳＳ）』

女性の幸せとは、なんでしょう。
現在は、女性の生き方が多様化し、幸せのとらえ方も様々になりました。それでも一般的には、経済力のある信頼できるパートナーと結ばれ、子どもを生み育て、家族のために尽くすことだと信じられているのではないでしょうか？そんな絵に描いたような理想が、ライダーウェイト版タロットカードの『女帝』の一面でもあります。では、詳しく読み解いていきましょう。

ライダーウェイト版の女帝のカードは、女教皇のカードとはまったく違った印象を受けます。華やかでゆったりとした女性が大きく描かれ、色鮮やかです。与えられた数字は、大アルカナの中で、成長や増加を意味する『Ⅲ』です。

カードの背景には、黄色い空と緑豊かな森林、そして女帝に向かって流れでる豊かな水流の川が描かれています。前面には、麦畑が広がっているかのように収穫まじかの豊かな穂をつけた麦が生い茂り、金色に輝いています。雲ひとつない黄色い空は、なんの心配もしないで創造するエネルギーです。緑豊かな森林と豊かな穂は、大自然の恵みと豊穣のすばらしさを物語っています。水は、生物の源で、感受性や豊かな愛情を表すものです。

玉座の下には、緑色の金星のマークが刻まれたハート形の盾が無造作に置かれています。ハート型は、こころや心臓を象徴しています。そこに刻まれた金星は、太陽、月に次いで3番目に明るい星です。何にも勝る美しい輝きから、ギリシャ神話の美と恋の女神ヴィーナスの名前が付いています。緑色は、調和と穏やかさです。女帝の盾は、こころの中の女性性を強く意識させ、バランスを保ち、安定しています。武器を持たない彼女は、愛するものを守るこころの強さと美しさで身を守るのです。

女帝の背持たれには、３つのクッションが使われています。ひとつは、黒地に黄色い金星マーク模様で、暗い闇の中でも光り輝く女性性です。たっぷりの布を使った赤いクッションは、あふれる情熱です。ふかふかして柔らかそうな大きなクッションは、よく見ると黄色に赤い縦線が入っています。黄色は、なんの障害もない無敵な状態と創造性、赤い線は、強い情熱と勢いのある行動力を示します。一見オレンジ色で大きなクッションは、太陽をイメージさせ、暖かでほんわかした気分にさせます。

重ねられて座り心地がよさそうなクッションにゆったりと腰をおろす女帝の頭には、１２個の白い星を飾った大きな月桂樹の王冠がのっています。１２個の星は、横道十二宮であり、占星術でも使われる１２宮を表します。バランスの取れた星型は、木星・水星・火星・土星・金星の５惑星や子宮を表したり、火・水・風・土の四大元素に霊を加えた５つのエレメントにも対応します。

首元には、太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星を表す７個の真珠の装飾品を着けています。真珠は、異物から身を守るために貝の体内でつくられることから、邪気を払って持ち主を守ると言われています。石言葉には、慈悲・母性・守護・完成・富・健康・円満などがあります。

かわいらしくカットワークされた黄色い襟の白いドレスは、赤い実のザクロ模様です。たっぷりの布地とたくさんのドレープ（ひだ）がマタニティードレスを想像させます。白色のイメージは、無垢・純粋・神聖・平和です。ザクロの実は、女性性の象徴で、子宝とも縁があるものです。マタニティードレスを思わせる衣装に身を包む彼女のふくよかさは、身ごもっているといってもいいでしょう。そして、確実に数えられるザクロの実は、小アルカナの枚数と同じ５６個です。現実の世界の日常や環境を表現した５６枚のカードの中の人物たちなのかもしれません。

右手には、麦の穂を模した柄をしっかりと握っています。その先の金色に輝く球体は、地球です。彼女は、地球を愛で包み込み支配しています。

カードを時計回りで番号順に置いた場合、女帝の左側に置かれるのが皇帝です。彼女は、左側に膝を向け、いつでもすぐに愛する人に手を差し伸べられるように左手は左膝の上に置いています。

女帝を取り囲む環境は、新芽が芽吹く春と実り多い収穫の秋を思わせる豊かで完璧な大自然です。さらに彼女は、食べ物、快楽、美といった感覚的な喜びにひたっています。その心地よさに酔いしれながらも、大地にしっかりと足をつける姿は、自信に満ちあふれ、とても美しく魅力的に見えます。彼女は、あらゆる面での豊かさを手に入れ、心底幸せなのです。

女帝のカードは、女性を象徴することもあります。母性が強く、周囲に愛ある態度で接します。こころの安らぎを手に入れるために、素質や才能を引き出したいと考えています。自分の可能性を開花させることが大切なのです。母親・家族・結婚のことで悩んでいます。

・愛し愛されることに喜びを感じます。

・計画や事業の成長や発展があります。

・十分な報酬を受け取れます。

・満足できる環境が手に入ります。

・裕福な生活を手に入れます。

・豊かさを感じることができます。

・心身ともに満たされます。

・自然を満喫できます。

・子どもを生み育てます。

・エネルギーに満たされ活動的になります。

キーワード

・母性・成長・発展・満足・創造力・幸福・安泰・豊富・実り・行動・順調・繁栄・結婚・妊娠・出産・援助・守る・自然・アウトドア活動

周囲の人たちと楽しい時間を過ごせそうです。どんな相手にも、寛大なこころで優しく接することができます。姉御肌とは違い、お母さんのように頼れる存在です。家族のことで、悩みがあるかもしれませんが、心は満たされます。アウトドアと縁がありそうです。

パートナーがいる場合…お互いの愛情が最高に高まっています。愛し愛され、身も心も満たされ、楽しい時間を過ごせます。結婚・妊娠・出産といった嬉しいイベントもありそうです。

パートナーがいない場合…結婚につながる良い出会いが期待できそうです。出会いがなくても、充実した時間を過ごせます。

こころに思う人がいる場合…進展があります。気持ちが通じ、良い感触があるかもしれません。見返りを求めず、寛大なこころで接しましょう。

良い結果を出せます。いい評価を得られたり、収入アップも期待できそうです。充実した仕事ができます。

健康的で活力に満ちた生活が送れます。自然と一体化するような経験ができるかもしれません。

経済的にも物質的にも恵まれます。豊かさを実感できます。

女帝のカードが示す母性とは、子どもを産み育てる一般的な母親のイメージだけではありません。
様々なものを愛で包みながら、守り、養い、育てていくという広い意味も含みます。
そして自然、生命、こころの豊かさを慈しむことで、あらゆる面での満ち足りた状態を手に入れることができるのです。
また、食べ物、快楽、美といった感覚的な喜びをもたらしてくれたり、物質的な報酬も示します。

『女帝』逆位置の意味

・成長がありません。

・妨害を受けます。

・感情が抑えられています。

・情緒が不安定です。

・誰からも必要とされず、孤独です。

・結婚、妊娠、出産に否定的です。

・結婚生活を拒否します。

・離婚や不倫の可能性があります。

・母性が足りません。

・所有欲が強く、欲張りです。

・不満がいっぱいです。

・強いストレスから健康問題を起こしそうです。

キーワード

・停滞・沈滞・無感情・孤独・裏切り・離婚・不貞・情緒不安定・欲張り・怠惰・浪費・派手好き・贅沢三昧・際限のない欲望・欲求不満・悪戦苦闘

うまくいきません。自分の思い通りにならないことから、欲求不満がたまります。こころが苦しみにさいなまれ、自暴自棄になりそうです。嬉しいイベントとも縁がありません。

パートナーがいる場合…欲求不満になります。気持ちが不安定になり、結婚、妊娠、出産に拒否反応がでそうです。結婚話がでても、妨害に遭うかもしれません。浮気の疑いもあります。

パートナーがいない場合…イライラして、孤独を感じます。よさそうな人が現れてもなんの期待も持てません。

こころに思う人がいる場合…進展しません。行き場のない感情を持て余しそうです。

頑張っても評価は期待できません。悪戦苦闘しても無駄に終わります。ストレスだけが増えそうです。

ネガティブな感情から憂鬱な気分になります。感情を抑えすぎて、ストレスがたまり、健康を害しそうです。

停滞します。収入が増えても、出費が増えます。止まらない欲望を満たすための贅沢三昧は、身を亡ぼすだけです。

母性の反対語は父性ですが、逆位置の場合は、母性が活かされない状態になります。バランスを欠いた母性は、ネガティブなものを引き寄せます。母性は男女関係なく誰でも持っている能力のひとつですが、多すぎても少なすぎても、力を発揮できません。願望を達成するには、愛の力をもつ母性が不可欠です。上手にコントロールする能力を身につけ、味方にすることが大切になります。

潜在意識の守り主である静かな女教皇から成長したのが女帝です。様々な試練に負けない愛の力を手に入れ、成熟した彼女は、自分の可能性を引き出して、達成させることを大切に考えています。それがこころの安らぎにつながっていくことを知っているからです。

現実に感じる感覚的な喜びや目に見える物質そのものは、わたしたちの欲望を満たし、豊かな気持ちにさせてくれます。しかし、真の豊かさとは、惜しみなく与える無償の愛と寛大な精神からわきでるものです。ギブアンドテイクの考え方ではなく、あくまでもギブアンドギブです。なんの見返りも求めず、行動したときに初めて得られる尊いものがあるのです。生命の本質を理解すれば、豊かな人生のすばらしさを身をもって体験できることを女帝のカードは、教えてくれています。