タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『愚者(THE FOOL)』

タロット占い

わたしたち人間は、人生という大海原を航海しています。優雅な世界一周とは違って、天気予報も 航海地図もない予測不可能な人生行路です。その途中では、この上なく幸せだと感じることもあれば、思わぬ困難に出会いどん底を体験することもあります。人それぞれ様々な冒険を繰り広げているのです。

それでは、愚者について詳しく読み解いていきましょう。

『愚者』の説明と解釈

ライダー・ウェイト版では、断崖絶壁に立つ若者が描かれたカードが愚か者の意味でもある愚者というカードです。一般的に22枚の大アルカナの一番最初に位置し、『0』 という数字を与えられています。

まぶしい白い太陽から降り注ぐ光が雲ひとつない空を黄色く染めています。若者は、険しい山々に囲まれた崖っぷちに手を広げながら、空を仰いでいます。小さなバックひとつをくくりつけた棒を右肩にかつぎ、左手には白い花が握られ、近くには小さな白い犬がいます。

若者の背後で光り輝く白い太陽からは、わたし達が知っている宇宙の燃えさかる太陽とは違った得体のしれないエネルギーを感じることができます。無限の力を持つ神のような存在なのかもしれません。白い太陽から降り注ぐ黄色の光は、無限の力を信じて、未知の世界への無邪気な好奇心を表しているようでもあります。真っ白で可憐な一輪の花は、どんな色にも染まる純白のドレスを身に付けた花嫁の純粋なこころと神聖さをイメージさせます。

白い犬は2本の後ろ足で立ち上がって、若者をけしかけているようにも崖に追い込んでいるようにも取れますが、当の本人は呑気そうです。

旅のお供にしては少し頼りなさそうな小型犬とはいえ、利発そうなので、勇気や知恵を授けてくれる存在になるかもしれません。

 

いままさに冒険の旅へ一歩を踏み出そうとしている若者は、急に思い立ったような身軽な恰好をしています。はるかかなたを見るように空を仰ぎつつも、その瞳は閉じられているようにも見えます。明るい未来を夢見ているのでしょうか。それとも地上の世界を見ているのでしょうか。野心を表す棒先の小さなバックの中には、夢や希望がいっぱい詰まっていそうです。

頭の風になびく鶏のトサカのような長くて赤い羽は、子どものように明るい素直さを持った強い自己顕示欲です。身につけている白いシャツは、経験や常識はもちろん不安や恐れさえも持たないまっさらなこころの持ち主であることを示しています。重ね着したチュニックには、先が見えない暗闇をイメージさせる黒色に9つの朝顔と3つのザクロの実が全面に描かれています。

朝顔の花言葉は、「はかない恋・かたい絆(結束)・愛情」です。黄色に赤い筋の朝顔は、子どものような無邪気な好奇心と情熱を表します。9という数字は、個性や神秘性をもつひとつのサイクルの到達と始まりを意味します。

ザクロの実の花言葉は、「愚かしさ・結束」です。3は、成長や現実になりつつある計画と変化と発展、社交的で無邪気な自由人を意味します。

黄色のブーツを履いた若者は、楽観的で足取り軽く、のんきに自分を信じきっています。自分の持っている能力やその使い方を全然知らなくても、平気なのです。足元に見える風景からは、険しい道のりであることは、疑いなく思えるのに、広い未知の世界に向かう彼の姿は前途洋々に見えます。

若さや冒険心は、わたしたちの誰もが潜在的にもっているものです。歳を重ねた高齢者や石橋をたたいて渡る慎重なタイプであっても、ときには、年齢を忘れたり、後先考えず大胆に行動することがあるはずです。

大アルカナの0番である愚者のカードは、わたしたちがこの世に誕生した瞬間としてとらえることもできます。五感や自我が発達するまでの間は、無垢なままです。この世を知らず、目も見えず、言葉も知らず、ただ泣いて訴えることしかできません。こころの準備もないままなにもない状態でこの世に生まれた瞬間から、人生という旅が始まっているのです。そして意識するしないに関わらず、天から授かった運や才能、生まれた国、家族、師となる人物や周囲の人々、自分を信じる力などすべてが相まって、人生を支え、作り出していきます。

『愚者』正位置の意味

・自分の為の人生をスタートさせます。

・大きな決断をします。

・新しい段階の始まりです。

・未知の世界に一歩を踏み出そうとしています。

・自分の力を信じて前に進もうとしています。

・無限の可能性を秘めています。

・無邪気なこころで自然体になれます。

・自由に行動できます。

・自分を認めることができます。

・自分に正直になれます。

・旅にでかけます。

その他のキーワード

・新しい始まり・無限の可能性・重要な岐路や決定・ラッキーなハプニング・好ましい状況・無邪気・純粋・天真爛漫・自由(常識にはとらわれない)・無鉄砲・独創性・放浪・危なっかしい・恐れをしらない・人の目を気にしない ・信頼・誠実・流れに任せる

人間関係全般

良い方向性での新たな人間関係の始まりです。いままであなたを苦しめていた人から解放されます。それは、実際にあなたから距離が離れる場合もあれば、あなたが気にしなくなる場合もあります。あなたは、人の目を気にすることよりももっと大切なことに気が付きます。自分を信じること、自分の気持ちに正直になることを重要視するようになるのです。自分をないがしろにしてきた人間関係から飛び出し、自分を主役に返り咲かせます。自然体のままでいられる自分に優しい人間関係を新たに構築していきます。

パートナーがいる場合…信頼関係が強まり、自然に振る舞うことができます。新しい段階に入るので、恋人関係なら結婚の可能性もあります。二人の関係を見直すという前向きの意味で、別れ話が出ることもあります。二人で旅行に出かけるかもしれません。

パートナーがいない場合…気持ちに変化がありそうです。婚活中や恋人募集中の人は、新たな方法を見つけたりして、方向転換の機会でもあります。世間の常識よりも自分の本当の気持ちを大切に考えるときです。

こころに思う人がいる場合…何かしらの進展があります。決断する時です。相手への純粋な気持ちを大切に誠実に振る舞いましょう。ラッキーなハプニングがあるかもしれません。

仕事…新しい仕事に縁があります。異動や昇進があるかもしれません。勇気ある行動で、未知数ながらも成長は望めます。自分の力を信じて、行動することです。

健康…健康の為に何かに挑戦します。治療中の場合は、病院や治療方法、薬などが変わったり、病気を受け入れつつ前向きな強い意志を持てるなど新たな展開が起こります。

経済…お金の心配からは解放されます。気が大きくなって、手堅い貯蓄よりも投資やギャンブルなど予測できないものに興味を持ったり、衝動買いに走りそうです。

『愚者』正位置の意味まとめ

新しい段階が始まる転機です。期待できる出会いや環境の変化も考えられます。意気揚々と前向きにスタートを切って、積極的に進みましょう。未来はまだ予測不可能の状態ですが、いくらでも成長するチャンスに変えられるほど意義あるものになります。世間の常識よりもあなたの素直なこころに沿った生き方が大きな意味を持つのです。あなたには、未来を変える力が備わっています。まずは、自分を信じて挑戦してみることから始めてみましょう。

『愚者』逆位置の意味

・愚かな決断をします。

・周りが見えず、独りよがりです。

・不安を抱えながら、未知の世界に一歩を踏み出そうとしています。

・自分の力を信じることができず、疑心暗鬼です。

・自分の力を過信しすぎておかしな方向に向かいます。

・考えすぎか、まったく考えなていないために足元が見えていません。

・関係性のないトラブルでも自分から巻き込まれるような状態です。

その他のキーワード
・愚かな選択や行動・軽率な行動・自己中な行動・わがまま・ハプニング・落ちこぼれ・馬鹿馬鹿しいこと・人に利用される状況・考えすぎ・優柔不断・型にはまった行動・先が見えない不安感・不信感

人間関係全般

あなたにとってよくない人間関係が生じます。あなたをだまして利用しようとしたり、悪い行動に誘ってくるかもしれません。いい加減な判断をして、巧妙な手口にまんまとはまります。自分の欲望のままに走り、冷静さを失ってしまいます。愚かで、利己的な行動が目立ち、あなたに関係のないいざこざに巻き込まれることもあります。新しい出会いがあっても、期待できません。自業自得です。

パートナーがいる場合…信頼関係が弱まり、ギクシャクします。一見、期待を持たせるような明るい話題がでても、何か裏があるかもしれません。

パートナーがいない場合…気持ちがすさみます。婚活中や恋人募集中の人は、いい条件の人が現れたとしても、期待はずれに終わります。安易な行動に走れば、後悔するだけです。

こころに思う人がいる場合…チャンスがあっても、慎重に考える必要がありそうです。あなたの純粋な気持ちを大切にしてください。

仕事…自己中心的になったり、他人に利用されたりして、ひと波乱起きそうです。何らかの漏れがないか、再度しっかり確認してみる必要がありそうです。自分の力を過信して後悔が待つ結果にならないためにも、常に冷静さと慎重さを忘れないことです。

健康…欲望のままの悪い生活習慣にはまります。良かれと思ってしたことが裏目に出ます。

経済…お金の心配が生じます。よく考えもしないで衝動買いをしたり、騙されたり、うまく乗せられたりして、散財します。一見、得のようで、実は損という買い物もしそうです。

『愚者』逆位置意味のまとめと対策

悪い転機です。選択を間違えたり、誰かにうまく利用されてしまう可能性があります。よく考えずに、あるいは自分さえよければいいという考え方が悪い方向に向かわせます。悪い欲望は悪い行動に走らせる源で、いわゆる身から出たサビというものです。未来はまだ見えていなくても、結果を考えずに気の向くまま身勝手に行動すれば、後悔だけが残ります。今は、チャンスに見えることでも慎重になるべきです。自分を過信せず、安易な判断は控えてください。原点に戻り、あなたが本当に欲しいものや本当にやりたいことをもう一度考え直してみましょう。

『愚者』意味のまとめ

自分自身を強く信じて、これから冒険の旅に出ようとする若者は、一見、純粋すぎて怖れを知らない愚か者に見えるかもしれません。彼が持っている自信も根拠のないものにしか見えず、大人の常識からすれば頼りなげでもあるでしょう。実際、これから彼を支えてくれるものは、元々持っている潜在意識とこれから経験するであろうことから得られる教訓や知恵です。これから始まるすべてのことが彼自身にゆだねられています。

人は、安定を求める生き物です。それでも長い人生の中では、勇気を出して未知の世界へ進まなければならないときがあります。とはいえ、普通の人間は愚者のようにはなれないものです。前もって危険を想定し、十分な準備をします。

それでも不安や恐怖はなかなか消えるものではありませんが、人生の新たなページをめくるときには、勇気をだして明るい未来と自分の力を信じましょう。たとえ自分の期待通りの結果を得られなくても、生きている限り前に進むことは可能です。経験をよい糧にしようという意気込みがあなたを救います。どんな結果も自分次第で変わるという事実を受け入れるのです。予測不可能な未来でも、自分の力を信じるものは救われ、道は大きく開けていきます。魂の成長を目指しながら、前向きに進むことです。

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