タロット占いの詳しい解釈と意味 大アルカナ『女教皇(THE HIGH PRIESTESS)』
どんなものにも目に見える部分と見えない影の部分があり、良い面と悪い面を持っているものです。本来、誰しも知っていることなのに、わたしたちはついうっかり忘れてしまいがちです。そして見える面だけでものごとを判断し、白黒つけてしまうことが多いのではないでしょうか。女教皇は、そんなわたしたちの特徴も持っている人物とも言えます。
ライダー・ウェイト版タロットカードの大アルカナで3番目にあたるのが『Ⅱ』の数字を持つ女教皇または女司祭と呼ばれる女性が描かれたカードです。愚者と魔術師とはまったく違い、水を連想させる青色と月の冷たいイメージのカードになります。
それでは、女教皇のカードを詳しく読み解いていきましょう。
カードの説明と解釈
カードの背景は、シンと静まり返った穏やかな夜を思わせる静かな空と水面の青一色です。カードの左側に配された黒の柱は、ヘブライ語の「ボアズ(Borz)」で闇や影・女性性を、右側の灰色に見える白い柱は、「ヤヒン(Jachin)」で光や陽・男性性を意味します。女教皇を守る2本の大きな柱は強固な神殿の門柱をイメージさせ、どっしりとした力強さを感じます。
その間の青い空と青い海をヴェールで隠すようにある幕には、生い茂った小さな葉っぱの中にぎっしりと赤い粒が詰まったザクロの実が7個と4本のヤシの木が描かれています。
ザクロの花言葉は、「成熟した優雅さ・愚かさ・子孫の守護・互いに思う」、実の花言葉は、「愚かしさ・結束」です。そのままずばり女性性を持っています。7という数字は、知識と論理、探求やクールな完璧主義者を意味します。
ヤシの木は木でも草でもありませんが、多くの利用価値があります。実のココナッツは食用として使われ、スーパーフードとしても注目されました。ヤシの木の花言葉は、「勝利・平和・忠誠・正義・あなたを見守る・思いがけない贈り物・固い決意・成功・贅沢」などです。ヤシは、古来から神の栄光のシンボルで、神聖なものとしても扱われ、男性性を持っています。4は、安定・安全・具体化に加え、2面性も意味します。左側に隠れている5本目のヤシの木からは、これから先の変化と自由と知識を求める意識が示唆されています。
垂れ幕は、2つの役目を意味します。ひとつは、処女性を表した外界から守る処女膜です。ふたつ目は、外界で普段意識されている領域とこころの奥の直感が属する無意識の領域とを隔てる境界のようなものです。
女教皇が手にしている巻物は、旧約聖書の神の教え(指示)である律法の書の「TORAH」です。大いなる法である「TORAH」は衣に隠れているので、わたしたちが知ることのできる部分と隠されている部分があることを示しています。彼女は、まさに神に仕える高潔な修道女だといえます。
女教皇は、珍しい冠をかぶっています。牡牛(雄牛)の白い角を模した冠の中央には、青白く輝く満月、両側の角はまるで三日月のようです。牡牛は、内側に強いエネルギーを秘め、安定と外のものを内側に取り入れようとする性質があります。その土台に鎮座する月はクールに光り輝いています。足元には、さらに大きな三日月が置かれています。暗くなると姿を見せる月は、一定の周期を守りながら、毎日形を変えていきます。闇に浮かび三日月の光は、頼りなげで不安を感じさせ、はっきりと見えない影の部分を意識させられます。三日月は、隠れている部分を暗示させ、女性性や隠れた意識である直感も表しているのです
胸元の真っ白で大きな十字架は、強い信仰心と気高さを表しています。ベールをかぶり、たくさんのドレープの衣装を身に着け、外界からしっかりと身体を守っています。ドレープは、潮の満ち引きや感情の波です。見開いた目からは、なんでもお見通しのような聡明さに加え、強い信念と厳しさが感じ取れます。
彼女の身体を覆っている色は、青と白です。青は、鎮静の色で、冷静に落ち着いた様子を表します。白は、けがれを知らない無垢さと神聖を表します。
水は、生物の源であり、自由に形状を変えることができます。鏡のような水面は、過去・現在・未来を映し出します。真っ暗な夜の闇を静かに照らす月は、わたしたちに見える部分を日ごとに変化させ、現代でも神秘的な存在と言えるでしょう。女教皇は、感情よりも知性を大切に考え、冷静沈着な理想主義者です。
どんなものごとにも隠れた力が影響します。そして刻々と変化をしていきます。もしかしたら、人の力ではどうにもできないことだったり、思いがけないことかもしれません。数字の2は、バランスを保つという意味があります。自分に自信をもって、柔軟に対応しようとする姿勢が大切です。女教皇のカードは、目に見える部分よりも隠れた部分にこそ真実が隠れているので、注意をしながらバランスを保った行動をした方がいいと教えてくれているのです。
女教皇のカードは、女性を象徴することもあります。特徴は、感受性が豊かでしっかりとした意志を内に秘めていて、言葉よりも行動で示す静かな女性です。献身的ですが、理想と規範を重んじるので、少し厳しい面があります。
『女教皇』正位置の意味
・気付いていない秘密があります。
・奥深い部分に目を向けなさい。
・意外な変化があります。
・行動よりも考えることが優先です。
・静観して、見守るときです。
・隠された才能や可能性を見つけます。
キーワード
・潜在能力・強い直観力・純潔・静観・厳しさ・孤独・未熟・聡明・安心感・知識・勉強家・献身的・感受性・洗礼
正位置のリーディング例(他のカードによっては意味が変わってきます。)
人間関係全般
自分の考えがはっきりしないか、状況がよくわからないまま、思いがけないことが起こりそうです。
パートナーがいる場合…隠されていることがあります。2人の関係に変化がありそうですが、直感に従うことです。
パートナーがいない場合…周りからは近寄りがたいと思われているかもしれません。独り身を保ちます。
こころに思う人がいる場合…行動よりも考えることを優先します。
仕事面
なにか変化があります。明らかにされていないことがあるかもしれません。しっかりとした調査が必要ですが、勇気をもって行動するべきです。
健康面
もし漠然とした不安を抱えているなら、情報収集が必要です。もう一度、よく調べたり、考えてみてください。
経済面
静観の時期です。なにか忘れていたり、隠されていることがありませんか?
正位置のまとめ
隠れた力の影響で、予想をしない変化が起こるかもしれません。あなた自身にもはっきりしていない部分がありそうです。どちらにせよ、状況がすべて把握できていないのは、確かなので、注意が必要になります。そのことを理解した上で、しっかりとした信念を持ち。自分の直感を信じて、勇気をもって行動してみてください。
『女教皇』逆位置の意味
・思いがけないよくない変化がありそうです。
・アンバランスな状態で、不幸に襲われるかもしれません。
・批判精神満載です。
・偏見を持ったり、持たれたりします。
・こころのバランスを崩しそうです。
・ヒステリックになります。
・怒りを抱え、忍耐の時期です。
・軽はずみな言動で、周囲から引かれます。
キーワード
・予期しないよくない変化・アンバランスな性質で不幸を招く・不満・無気力・引きこもり・冷酷・厳しすぎる
逆位置のリーディング例(他のカードによっては意味が変わってきます。)
人間関係全般
自分の考えがはっきりしないか、状況がよくわからないまま、思いがけないことが起こりそうです。
パートナーがいる場合…隠されていることがあります。2人の関係に変化がありそうですが、直感に従うことです。
パートナーがいない場合…周りからは近寄りがたいと思われているかもしれません。孤独を感じそうです。
こころに思う人がいる場合…結果がどうあれ、積極的に行動を起こしたくなります。
仕事面
予期しないことが起こったり、ネガティブな意識を持ちます。冷静な判断をするように心掛けてください。
健康面
一生懸命に努力しても、思ったほどの効果が期待できません。精神的にイライラがつのり、不健康な習慣にはまりそうです。
経済面
調子に乗って散財したり、思わぬ出費がありそうです。
逆位置のまとめと対策
世間の常識はありますが、ひとりひとりの価値観は、微妙に違うものです。あなたの価値観がすべての人に当てはまるわけではないのです。どんなに自分が正しいと思っても感情的な態度をすれば、自分勝手な人間になります。周囲からの信頼や調和というものは、簡単に崩れるものだということを理解しましょう。あなたにとって重要なことでも他人にはどうでもいいことになることを受け入れるときです。
また自分の得のために人の道義に反すれば、不幸に真っ逆さまです。たとえ周囲にバレなくても、自分のこころは知っています。潜在意識に刻まれた悪いことは、あなたを自滅へと追い込みます。
今は、感情のままの軽はずみな言動は控え、冷静になれるよう努力するときです。理不尽なことも受け入れる覚悟を持ってください。
『女教皇』まとめ
女教皇のカードは、神秘的で変わりやすい世界を表しています。そして、ものごとの表面的な面だけでなく、背後に隠された面に目を向ける必要があることを教えてくれています。奥深い領域まで意識を拡げることで、いままで見えていなかった現実と今まで意識してなかった潜在意識にまで光が当たるのです。隠された部分が意外にも重要なカギになりそうです。
あなたの中に眠る潜在意識と可能性は、あなたに見つけられるのをじっと待っています。だからといって、焦ってはいけません。ちょうどいいタイミングで動けるように、静かにゆっくりとそのときを迎える準備をすることが大切であるとカードは告げています。