タロット占いの詳しい解釈と意味　大アルカナ『死神（ＤＥＡＴＨ）』

ライダーウェイト版大アルカナの１４番目のカードは、気味が悪い骸骨が描かれた『死神』（ＤＥＡＴＨ）です。『ヨハネの黙示録』の疫病や野獣を用いて地上の人間を死に至らしめる役目を担う第四騎士がモチーフとされています。その名も『死』で、黄泉（ハデス）を連れています。カードの番号は、西洋では一般的に不吉な数字として扱われているⅩⅢです。宗教的な観点からはサタンやユダに関連し、悪いイメージが持たれています。また生活に必要不可欠な基数であるⅩⅡを超え、調和を乱し未知を表す数字です。不気味な絵柄に不吉な名前と数字の三拍子が揃えば、皆に恐れられても仕方がないと言えます。しかし、実際の肉体の死とは違い、前向きな意味を持つ誤解されやすいカードの１枚になります。タロット占いではどんな意味を持つのか、詳しく読み解いていきましょう。

背景の空は、うす暗く灰色です。シンと静まり返った中には、災害の後を思わせる悲惨な状況が描かれています。右の奥には、２本の柱の間からは明るい太陽の姿が見えています。2本の柱は、男性と女性性、顕在意識と潜在意識などの二面性と善悪の知識の樹と生命の樹の象徴です。その向こうに見える太陽は、暗闇を明るく照らし始めた朝日です。そしてよく見ると山かお城のようなものがそびえたっています。日の出は、昨日とは違う新しい一日の始まりです。試練を乗り越えた先にある魂の向上という新しい世界を示唆しています。

その下には、まだ朝日が届かず、夜明け前を感じさせる風景が広がっています。大きな川が流れ帆船が浮かんでいますが、風を受けて進もうとする先には、崖のような滝が見えます。この川を人生に例えるなら、突然の変化や災難が降りかかってきて、考え方を変える必要がでてくること、その結果、精神的に低いレベルから高いレベルに上がっていくことを表しています。

カードの左側に描かれた白馬にまたがった骸骨の死神は、赤い羽がついた兜をかぶり、黒い鎧で全身をおおっています。左手には、花が描かれた大きな黒い旗を持ち、右手は、細い手綱を握っています。赤い目の白馬は、右足を一歩前に踏み出そうとけりあげています。

死神の黒い鎧は、闇や影・顕在意識・女性性を表し、頭の風になびく鶏のトサカのような長くて赤い羽は、子どものように明るい素直さを持った強い自己顕示欲です。

白馬は、光や陽・潜在意識・男性性を表しています。おとなしく死神に従っていても、鋭く光る赤い目からは、強い情熱が感じられます。欲しいものを手に入れたいという欲望は、真の生まれ変わりをスムーズにするために必要不可欠なエネルギーです。
黒い旗に描かれた白い花は、ただの花ではありません。神秘の薔薇です。折れた状態の白い薔薇の花言葉は「純潔を失い、死を望む」ですが、神秘の薔薇には、過去を乗り越え、過去に執着しなくなったという深い意味を持ちます。

白馬の足元には、王冠とホルンが描かれています。その奥側には倒れている白髪の男性は、皇帝です。死神の前では、権力や目に見えるものはなんの役にも立たないことを示しています。転がっているホルンも復活の音を鳴らしそうにありません。

骸骨の死神の視線の先には、3人の人間がいます。神のエネルギーの色でもある黄色い衣をまとった法王は、自分の限界を知り、死神に向かって手を合わせています。その足元には、白い小さな花を持つ青いチュニックの子どもと白いドレスの女性が膝まづいています。女性は、純粋無垢なこころの持ち主ですが、死神から視線を外していることから、過去や未来はもちろん現実からも目をそむけています。子どもは、不安を抱えながらもあどけない表情で死神を見上げています。

死神と白馬は、４人を放置し、太陽が描かれている右の未来に向かおうとしています。

目に見えるものや過去などあらゆるしがらみから解放され、新しい自由を手に入れる瞬間は、命の終わりのように突然やってくるものです。死は例外なく誰にでも訪れるものですが、新しい自由は、選ばれし人たち…というよりそれを選択した人しか手に入れることができません。新しい自由には、精神的な成長を妨げるものを断ち切る勇気と新しい自分を創造する力が必要になります。

わたしたちが恐れる死は、一般的には肉体の死を意味し、この世から消えてなくなると考えられています（肉体が滅びても霊魂はこの世に残るという考え方もありますが、ここでのコメントは控えさせていただきます）。しかし、タロットの世界においての死は人生の終わりではありません。既存のものを捨て去り、新しい状態に変化することを意味するものです。魂レベルで向上し、新しく生まれ変わるためにも古いものを抹殺しなければなりません。タロットの中での魂は、輪廻転生を何度も繰り返し、進化していきます。完全な終わりはこないのです。

突然、大きな変化が起こる転換期です。束縛からの解放や望ましい変化も意味します。過去が捨てられるという意味合いから、引っ越しや転勤などの移動による新しい生活や今までとは異なったサイクルが始まります。思考の変化では、ネガティブな過去の記憶からおかしな方向に向かっていた感情が整理され、わだかまりが消えてなくなります。ノイローゼなどのこころの病から解放され、苦しみが和らぎ、穏やかで静かな生活を送ることができます。希望が叶う日も訪れそうです。

・状況に終わりがきます。
・望ましい変化があります。
・新しい始まりが訪れます。
・感情面での成長を期待できます。
・束縛から解放されます。
・精神的によい変化があります。
・過去に背を向けます。
・いらないものを処分します。
・古い考えを捨てます。
・重要なことに集中します。
・運命を受け入れます。

その他のキーワード
・停止・終末・破壊・離散・終局・清算・決着・死の予兆・強制終了・消滅・全滅・満身創痍・死と再生・・再開・ゲームオーバー・損失・失職・倒産・不合格・中止・絶望・重病

人間関係全般
お互い成長できそうもない古い人間関係が一掃され、新しい出会いに期待が持てます。ただし、良い変化を現実にするには、前向きな思考と行動する勇気が必要です。

パートナーがいる場合…考え方の変化が起こり、２人の関係性が変わります。もし別れ話に発展して辛い体験をすることになっても、お互いが幸せになるためだと前向きに受け止めてください。そうすれば報われる日がやってくるのも近いでしょう。

パートナーがいない場合…何かしらの変化があります。良い変化につながるので、素直に受け入れてみてください。

こころに思う人がいる場合…気持ちの変化があります。冷静に考える時間を設けてみてはいかがでしょう。新しい出会いに向けて、一度気持ちをリセットするときかもしれません。

仕事面…職場が変わります。倒産や失業するかもしれません。終わりと始まりを経験する中で、希望通りの変化なら状況を楽しみましょう。

健康面…持病があるなら、あまりいい状態ではなさそうです。でも前向きに考えることで、状況はきっと良い方向に向かいます。

経済面…経済状態は、どん底です。めげずに働いて、金銭感覚を見直しましょう。

真新しい時代を迎えるには、それまでの古い時代に幕を下ろすことが前提になります。大きな変化は、往々にして重大な終わりの後にやって来るものだということをこころに留めることができれば、未来は明るくなります。暗い過去も苦しい今も捨て去ることで、明るい未来は開かれていくのです。悲しみや執着心といったネガティブな思いと安堵や達成感などのポジティブな思いが入り混じって、こころが不安定になることもあるでしょう。しかし、避けられない転換期なのです。変化を受け入れ、乗り越える勇気を持ってください。そうすれば、本当に必要なものが明らかになり、前向きなこころが最善の道へと案内してくれるはずです。

物事が暗礁に乗り上げ、一時的に行き詰まりそうです。やがて元の状況に戻って、ゆるやかに変化していきます。生まれ変わって、新しいスタート前です。

・不安定な立場に置かれます。
・動きが取れません。
・行き詰ります。
・友情を失いそうです。
・緩やかに変化します。
・挫折から立ち直ります。

その他のキーワード
・不活発・起死回生・名誉挽回・汚名返上・逃れられない状態

人間関係全般
状況が不安定です。人間関係に行き詰まりを感じますが、どうにもできません。

パートナーがいる場合…マンネリのせいで、関係が行き詰まりそうです。気持ちを新たにする工夫が必要かもです。

パートナーがいない場合…なんの変化もない状況にうんざりしそうです。元気を取り戻したければ、なにか気晴らしをしましょう。

こころに思う人がいる場合…まったく動きがありません。一時的に彼のことを忘れるためにも気分転換が必要です。

仕事面…動きが取れず、不安定な状況に陥ります。おとなしく事の成り行きを見守りましょう。

健康面…状況に劇的変化は期待できません。静かに現状を受け入れるしかありません。

経済面…行き詰ります。散財しないように外出やネットは控えましょう。

ものごとが行き詰まり、思うように進みません。これ以上状況が悪くならないように見守ることが最善策かもしれませんが、変化はしっかりと受け止めてください。常に周囲への感謝を忘れないで、謙虚な気持ちで取り組めば、状況は改善していくはずです。

死神は、占星術のさそり座と関連し、死と再生を司る星座になります。さそりは、成長段階で脱皮をすることから生まれ変わりの象徴です。目で見てわかりやすい脱皮とは異なりますが、自然界では常に死と再生が繰り返されています。そしてわたしたち人間の身体の細胞も毎日生まれ変わり、目に見えないこころの中で感じることも生まれては消えるを繰り返し続けています。

『死神』は不吉なカードとして有名ですが、黄色い太陽、黄色い骸骨、黄色い法王、黄色い王冠、黄色いホルン・・・ところどころには赤色が配されて明るい希望も感じられる色使いです。『死神』が示す『死』は、むやみやたらに恐ろしいだけの存在ではありません。マイナス感情に振り回されないという意味で、”恐れるに足りない”ものくらいに受け入れた方が明るい未来が早く訪れます。『死神』のカードは、試練をきっかけに新しい世界に向けて謙虚に生まれ変わっていこうとする魂レベルでの進化を表しているのです。